手の平の中に、世界はあった。

ガラケーって言葉も無かった頃の携帯電話ゲームとか昔のゲームとか、他なんやかんやを書き残しておきたい、そんなブログです

iモードアプリゲームを語るに、「RPG大集合」は避けては通れない

 タイトルの通りである。

『携帯電話で据え置き機のようなゲームを遊ぶ』という話をするのであれば、ドコモユーザーに限ってはここの話をしなくては始まらない。それがiアプリゲームサイト「RPG大集合」というものである。

 

http://daisyuugou.opendoor.co.jp/pc/

 

このサイトはOpenDoor社が開設・管理を行っていたが、中身のゲームアプリ全てが自社製というわけではなかった。今やNintendo Switchに舞台を移しゲーム実況の動画を作られるまでに至ったカイロソフトのゲームやmixiなどでファン層を獲得した「ふにゃもらけ」シリーズを開発するディベロッパーであるピース!といった後のスターがゲームを提供する言わばiアプリ界のトキワ荘だったのである。

自分の10代~20代の何十時間という余暇がこのサイトに溶かされ、携帯の充電も夜毎費やされ、たまに寝落ちして朝起きたらバッテリーが空っぽなんてこともあったくらいに、このサイトのゲームたちをあの頃の自分はこよなく愛していた。

とかくサイトの名に恥じないRPGの充実っぷりは当時非常にお世話になったものである。あの地でプレイした名作・良作の数々をざっと紹介していこう。

 

TEAM RISE制作―「シェルタリング・クライ」シリーズ

街中やマップ上で"穴を掘り"お宝を発掘するというトレジャー要素が楽しいRPG。ストーリーは結構ずっしりシリアス。

ここの制作チームは船での貿易が楽しすぎて延々と船で商品を転がして儲けるのが止められない魔性のゲーム「メリディア航海史」シリーズも制作している。

一部ゲームは移植されスマホでも遊べるので検索をかけると出てくる。1本300円台と中々に廉価。きちんと終わりのあるRPGをやりたいなら今から手に取るのもアリか。

 

OpenDoor(自社)製作―「Bravest!」

2006年リリース。主人公がニートの青年ということは、「ニート」という単語・立場をゲームでイジれるほど世に浸透していた頃合いということだ。"いかにもネットオタクみたいな青年が異世界で大活躍"という展開はなろう系を僅かに先取りした展開だったのでは?布団たたきは武器です。

ゲーム内に出てきた商人・栗本を主人公にしたスピンオフ作品も後に登場。

「Bravest!」のみスマホに移植されプレイ可。

 

株式会社グローバル・A・エンタテインメント製作(※確証は無い。元を辿るとここに行きつくが…)―「ダンジョンメーカークロニクル」

これ一番スマホ移植して欲しい。

ダンジョンに家具やモンスター用の寝床などを置いて整備し、なんと自分からモンスターを呼び寄せるという超異色のRPG。ダンジョンを観光資源にし村の経済を潤すのだ。

欲しいアイテムや装備を持ってるモンスターを狙って呼び込むようダンジョンを整備する、というプレイングが本当にやってて楽しく、気分は物件コーディネーター。

ゲームが進むと高位の魔物においでいただくために質の良いベッドや噴水をせっせとダンジョンに置くことになり、より光景のシュールさが増していく。

中々に尖った単発ゲームだな…と思いきやPSP用ゲーム「クロニクルオブダンジョンメーカー」の移植だったらしい。こんな作品の移植にGOサイン出したのは誰だったのか。よくやった。

あとヒロインのライザちゃんはめちゃくちゃカワイイ。

 

クロノス・クラウン社製作―「Princess Forces」シリーズ

ファイアーエムブレム的なシミュレーションRPG。主人公はおてんば3姉妹のお姫様で昔はまだどちらかというと男の子の味だよなって位置づけだったシミュレーションRPGを女性ゲーマーでも手に取りやすくした1作。

長女・サファイアはぽわわん癒し系僧侶。

次女・ルビーは元気印の剣士。

三女・エメラルドは頭脳労働担当の魔法使い。

そしてこの姦しい姉妹にお供する苦労人の男・コバルト。

この4人がメインの珍道中ストーリーは単調になりがちなゲームジャンルの飽き感を上手い事打ち消す面白さだった。

ユニットによって相性があるから考え無しに突っ込むのは禁物。

5作目まで続いた人気シリーズだった。

 

 

 

 他にも、「勇者ケロちゃん」シリーズ、「ローズマリー」シリーズ、「だまされたクエスト」、「アイゼンマイスター」、「ゾンビマスター」、などなど色々……。

誇張無しにこのサイト1つ登録しておくだけで何本とゲームを選んで遊べたのである。これが月額324円だったのだからあの頃の携帯電話ゲーマーは恵まれていたとしか言いようが無かった。iモードの頃から実は今に至るまで、ドコモ公式から様々なアプリサイトへと「メニューリスト」なる項目を通って飛べるのだが、このリストに載るサイトは人気であるサイトほど(多分、月額使用料を支払っているユーザーが多いほど?)リストの上位に来る。「RPG大集合」は当時常に一覧の上位5項目の中に入り続けているほど人気だったのだ。

ゲーマーならとりあえずココ。RPG嫌いじゃなければまずココ。そういう「安パイ」「鉄板」「定番」の位置で長い間不動の人気サイトのポジションに位置していた。30代・40代のゲーマーであればやったことある人は結構いるんじゃなかろうか。

 そんな「RPG大集合」だったが、永遠に栄えるなどという事はやはり叶わなかった。理由はいくつかある。

 

・人気ディベロッパーの独立

前述したカイロソフトやピース!(あとサイト後期にゲームを出してたケムコもか)は時代が進むと自前で公式サイトを立ち上げゲームを提供するようになった。そうなるとそこの会社のゲームを目当てに来ていた客層が抜けることになり、「ついでに目に付いた新作ゲームを手に取る」ユーザーが発生する機会もその分少なくなっていった。

スマホ及びソーシャルゲームの台頭

やはり「怪盗ロワイヤル」の辺りから携帯電話ゲームは他人と繋がってナンボという風潮が強くなり、1人でプレイしストーリーやシステムを味わうRPGというジャンルは携帯電話という舞台においては下火になった感は否めなかった。

・時代はより高品質な「メガアプリ」時代へ

より美しいグラフィックを、重厚なストーリーを、たっぷりのデータをと開発側もユーザー側も求めていった結果、月額500円や売り切り1作500円の「メガアプリ」と呼ばれるゲームが出てくるようになった。そうなるとやはり月額300円で提供できるクオリティには限度もあるし、何年も前のゲームは単純に見劣りしてしまう。新規の取りこみというのも厳しくなっていった。

・携帯電話にはつきもの?対応機種問題

スマホがまあまあ世間に普及してきた位の頃、自分はまだガラケーにしがみついていた。その頃この肌で実感していたのが『新作iモードアプリゲームが出ても自分のガラケー、古い機種扱いされて対応して貰えず遊べない』という問題だった。

据え置き機なら何年前の本体だろうが動く限り遊べるが、携帯電話だと2年前に機種変更してまだまだ現役で電話としては使えてもゲーム機としてはもう使えないんである。据え置き機ゲーム業界と比較して短いスパンで対応機種のボーダーラインが変わっていき、ユーザーたちは何度も篩にかけられ都度少しずつ振り落とされていった。

こうなると何時まで過去と心中できるか?という不毛な段階に差し掛かる。諦めた奴からスマホに替わりiモードという存在はもう過去のものになり触れられないものとして封じられる。もちろん「RPG大集合」も、である。

 

 かくして大集合していたあの頃のゲーマーたちは徐々に徐々にと旅立ち、散り散りになっていった。民が去り維持できなくなった「RPG大集合」という国も、いつしか新作リリースという更新もなくなり静かにフェードアウトし、息を引き取った。

今や1個人がディベロッパーとなりゲームアプリを提供できる時代だ。このような総合ポータルサイト的存在が必ずしも必要ではなくなってしまった。「RPG大集合」も、時代が流れ役目を果たした存在と言える。

 実はOpenDoor社、「ゲーム大集合」とちょっと名を変えて「RPG大集合」で提供していたゲームを移植しスマホゲーマーの顧客を獲得しようとする動きはあったようなのだが、ゲームサイトの更新は2012年で止まっている。

今そこのHPを見てみると姉妹サイトにあのCMで見かける「トラベルコ」の文字があった。えっあれOpenDoor社の運営だったの?

どうもそっちが当たってそっちにすっかり専念したようで、事業内容にももはやゲームの事は書かれていない。

 

 亡国はどうやらもう蘇らないようである。合掌。

たまにでいいから、「RPG大集合」という過去の英雄の事、思い出して偲んでやって下さい。故サイトもそれできっと少しは喜んでくれるでしょう。